門前典之『屍の命題』
- 作者: 門前典之
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2010/02/19
- メディア: 単行本
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雪で外界から遮断された館で起こる連続殺人。最終的にみんな死んでしまうが、最後まで残っていた二人が残した手記で、恐るべき殺戮劇が描かれる。なんといっても、「雪の中を歩く巨大カブト虫」は、島田荘司を彷彿とさせる奇想だ。
誰もいなくなった後で館に乗り込んだ建築士・蜘蛛手によって事件の真相が明らかになるのだが、この仕掛けの奇抜さは、いやはやよくやったわ、と感心するしかない。同様の趣向の有名な先例(T・Aさんの某長編)もあるが、パターンが逆なのでさらにアクロバティックである。あまりにも奇抜であるがゆえに所々に無理があるのだが、それも含めて、こんな不可能状況を作り上げただけでもう凄い、と言わざるを得ない。