2017年1月に読んだ本

毎月、一か月間に読んだ本をここで記録しておこうと思います。といっても、読書メーターの「まとめ」を使うだけですが。
1月は「本屋大賞ノミネート作の未読消化」と「本や本屋についてのノンフィクション」が中心だったように思います。またブログ更新のネタにします。が、断トツの傑作は『恐怖小説 キリカ』! これはヤバいです。大変なホラー作家がブレイク間近ですよ!


1月の読書メーター読んだ本の数:14読んだページ数:3496ナイス数:249


VS.―北関東連続幼女誘拐・殺人事件の真実 (ヤングジャンプ愛蔵版)VS.―北関東連続幼女誘拐・殺人事件の真実 (ヤングジャンプ愛蔵版)感想清水潔さんが中心となった日本テレビの調査報道の完全コミック化。2010年の発行で、後に『殺人犯はそこにいる』としてまとめられ、2016年には「文庫X」として話題になったため重版されたもの。漫画によってよりビジュアル的なインパクトを受ける。しかし、より重要なのは、この事件がまだ未解決である、ということだ。読了日:01月05日 著者:橘 賢一
死の天使はドミノを倒す (文春文庫)死の天使はドミノを倒す (文春文庫)感想おお、そういうことか。最後のほうで畳みかけるどんでん返しに気持ちよく騙された。だが同時に、様々な社会問題をテーマにしていて(ネタバレに絡むところもあるので書けないが)、ただのサプライズミステリでは得られない読後感があった。読了日:01月11日 著者:太田 忠司
芥川賞物語 (文春文庫)芥川賞物語 (文春文庫)感想元本(バジリコ刊)も読んだが、その後の受賞作、とくに『火花』『コンビニ人間』の大ブームまでを収録した、現時点での完全版。文春文庫から出たというだけでも5億点である。改めて流れを追うと、なんだかんだで文壇の話題の中心に常にある賞なのだということが分かる。特に話題になった回だけでなく、全ての回を網羅して候補作や選考委員の変遷にまで触れているのが、流れをまとめる意味でも意義深い功績だと思う。読了日:01月15日 著者:川口 則弘
月館の殺人 上 (小学館文庫 あN 1)月館の殺人 上 (小学館文庫 あN 1)感想あの『月館の殺人』がついに文庫化! あの綾辻さんがトラベルミステリー? と思っていたところにやってくる上巻ラストの展開に驚愕するはず。そして、やっぱり綾辻さんだ! と感じる。そこかしこに描かれる手鉄ヲタネタも楽しい。(続きは下巻で)読了日:01月17日 著者:
月館の殺人 下 (小学館文庫 あN 2)月館の殺人 下 (小学館文庫 あN 2)感想上巻ラストの衝撃をそのまま引きずる下巻。犯人や背景などはある程度読めるものの、やはり面白い。鉄道ネタのテンションが最後まで下がらないのも素晴らしい。ぜひこのコンビの新作を!読了日:01月17日 著者:綾辻 行人,佐々木 倫子
映画と本の意外な関係! (インターナショナル新書)映画と本の意外な関係! (インターナショナル新書)感想映画にチラッと映る本から、その映画と本との繋がりを指摘する、町山さんにしか書けない新書。特に映画「キャロル」とその原作者パトリシア・ハイスミスについての回が興味深かった。読了日:01月17日 著者:町山 智浩
なぜアマゾンは1円で本が売れるのか ネット時代のメディア戦争 (新潮新書)なぜアマゾンは1円で本が売れるのか ネット時代のメディア戦争 (新潮新書)感想タイトルの「アマゾンが1円で本が売れる」謎については1ページくらいでサラッと触れられているだけなので注意。出版界のネット進出の歴史と、ネットメディアの隆盛、ニコ動の動きなどについてのまとめ。新聞が活版印刷から電子写植に変わった瞬間は、確かに大きな変革の時だったのだなあと思った。日経新聞の電子版は有料電子メディアの成功例として、学ぶところは多いかも知れない。読了日:01月17日 著者:武田徹
暗幕のゲルニカ暗幕のゲルニカ感想ピカソの有名な作品「ゲルニカ」を巡って、ピカソが描いた当時と現代をカットバックで描いたサスペンス。帯にある「国連本部ロビーのゲルニカタペストリーが消えた」謎そのものは、前半であっさりと明かされるのでメインではなく、「ゲルニカ」を再びニューヨークのMoMAに展示しようと奔走するキュレーター遥子に降りかかるサスペンスがメイン。ラストのラストまで目が離せない展開の面白さと、「ゲルニカ」の背景となったスペイン内戦を現代の911テロに重ね合わせたプロットも素晴らしい。原田マハさんの代表作になるだろう。読了日:01月20日 著者:原田 マハ
恐怖小説 キリカ恐怖小説 キリカ感想怖い怖い!! 小説『ぼぎわん』が日本ホラー小説大賞を受賞した「澤村電磁」改め「澤村伊智」こと香川。担当編集者と出版に向けて動き出すが、創作グループ仲間が『ぼぎわん』に対して誤った解釈を始めてから、妙な方向に動いていく……。『ぼぎわん』の時にも感じていたが、もう間違いない、この人は天才ホラー作家だ! どこまでが事実でどこからフィクションなのか。いつの間にか作者の術中に嵌り、自らの身の危険すら感じてしまう。ああ、『ぼぎわんが、来る』を酷評してなくて良かった。あやうく殺されるところだったよ。読了日:01月23日 著者:澤村 伊智
本屋、はじめました―新刊書店Title開業の記録本屋、はじめました―新刊書店Title開業の記録感想リブロを退社した辻山さんが荻窪に個人経営の本屋「Title」を開店させてからちょうど一年。リブロ時代の回顧から物件探し、開店準備、そして開店と、ひとつの本屋が生まれて起動に乗るまでのあれこれを包み隠さずに書かれている。事業計画書から営業成績まで載せているのが大胆といえば大胆。辻山さんの「本」「本屋」に対する思いも伝わってくる。書店員はもちろんのこと、自営業の経営者にも、そして脱サラしたい方にも参考になるかも知れない一冊。読了日:01月25日 著者:辻山 良雄
夜行夜行感想十年前に京都・鞍馬で行方不明になった女性と、ある画家が残した絵画「夜行」連作。かつての仲間たちが日本各地で体験した「夜行」連作にまつわる不思議な話。第一話の「尾道」がやはり地元なので馴染みが出てくるが、尾道を取材してないと伝えられないリアリティと、独特の幻想的な雰囲気を上手く出していて非常に感心した。他の土地も同様だろうと思う。最後は狐につままれたような感じになるので賛否両論ありそうだが、これが森見さんの狙い通り、なのかも知れない。読了日:01月26日 著者:森見 登美彦
偽史と奇書が描くトンデモ日本史 (じっぴコンパクト新書)偽史と奇書が描くトンデモ日本史 (じっぴコンパクト新書)感想トンデモ本の世界の歴史版。竹内文書などの有名なものから、浦島太郎の元ネタ話まで、偽史文書をざっくり総括している。端的にまとめていて面白いが、1作品平均4ページで駆け足になってるので、物足りなさも感じる。盛った偽史文書を元に著名な作家が小説を書いたために、誤った通説が広まった例などが興味深い。最後のコラムで、トンデモ史家として有名な八切止夫もそれなりに評価していて面白かった。読了日:01月29日 著者:オフィステイクオー
コンビニ人間コンビニ人間感想一度は離れても、やっぱりコンビニに居心地の良さを感じる女性の話。昔には存在しなかったタイプの現代人を描いていて面白かった。読了日:01月29日 著者:村田 沙耶香
ローカルブックストアである: 福岡 ブックスキューブリックローカルブックストアである: 福岡 ブックスキューブリック感想本屋に関しては全くの素人だった大井さんが福岡に15坪の書店「ブックスキューブリック」を始めてから15年の記録。個性的な書店を続けながら、数多くのイベントや地域との密着により、そこになくてはならない存在になった。ここまでやってきた自信が感じられるエッセイ集だ。晶文社の本が原点だった大井さんが晶文社から本を出したのも運命だと思う。また見学に行って勉強しなければ。「規模の小ささをハンディと捉えず、小さな町の書店だからこそ出来ることを追求していこうと考えた。」(85ページ)読了日:01月31日 著者:大井実
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