内堀弘『ボン書店の幻』

ボン書店の幻―モダニズム出版社の光と影 (ちくま文庫)

ボン書店の幻―モダニズム出版社の光と影 (ちくま文庫)

身を削るようにしてわずか数百部の詩集を大切に発行し続けた男の物語。こういう情熱を持った人がたくさんいて、出版文化は支えられているのではないかと実感した。

杉江由次『「本の雑誌」炎の営業日誌』

「本の雑誌」炎の営業日誌

「本の雑誌」炎の営業日誌

WEB本の雑誌の連載の単行本化。
http://www.webdokusho.com/column/sugie/
5年間の間に「本屋大賞」が大きくなっていく過程も分かるが、出版界の激変も感じられる。首都圏ですら閉店する店のなんと多いことか。

伊坂幸太郎『モダンタイムス』

モダンタイムス (Morning NOVELS)

モダンタイムス (Morning NOVELS)

『魔王』のずっと後の物語という設定。なんだか分からないような大きなものと対決する羽目になる男の話。様々なエピソードが重なり合って、めちゃくちゃ面白い話になった。今回も印象的な会話・エピソードが満載。とりわけ、「北風と太陽と比呂くんの対決」のシーンは、緊張感溢れる物語の中でもホッとさせられる良いエピソードだった。ピース。平和。いい言葉だな。

東野圭吾『ガリレオの苦悩』&『聖女の救済』

東野圭吾ガリレオシリーズ新作は、短編集と長編の同時刊行。過去3冊には登場せず、ドラマオリジナルキャラクターだったはずの新人女性刑事・内海薫を小説にも取り入れ、レギュラーにしている。

ガリレオの苦悩

ガリレオの苦悩

短編集では最後の中編が良かった。犯人のジコチュー振りが最高。



聖女の救済

聖女の救済

長編も思わず唸ってしまったほどの完成度。単純ながら完成度の高いトリックで、読み応えがある。本格としてもよく出来ているし、キャラクター造形も巧い。どう転んでもヒットするのが自明な作品なのに、手を抜かないところも流石だ。