有栖川有栖『壁抜け男の謎』

壁抜け男の謎

壁抜け男の謎

鮎川・横溝・中井英夫へのオマージュ作品や、犯人当て小説、その他雑多な作品を集めた短編集。「下り「はつかり」」や「屈辱のかたち」などが特に面白かった。

有栖川有栖『鏡の向こうに落ちてみよう』

鏡の向こうに落ちてみよう 有栖川有栖エッセイ集

鏡の向こうに落ちてみよう 有栖川有栖エッセイ集

短いエッセイでも読みどころと「オチ」をちゃんと用意している文章が多く、さすがプロは違うなあと感心した。冒頭の台湾ミステリ界の話がやはり最も面白い。島崎博という人物は、ミステリマニアにとって特別な存在である。
新本格バッシングについて書かれた文章が実に巧かったので、引用する。

当時、新本格バッシングなるいうものがあったらしい。講談社ノベルスから島田荘司氏の推薦とともにデビューした新人作家に向けて痛罵の声があり、やがて創元社デビュー組の私もその射程に入ったようだが、そんなことは後日になって知った。「ほら、こんなことを書いている同人誌があるんですよ」と見せてくれた人がいる。だが、それはデビューして三、四年もたってからのことで、愉快ではなかったものの、すでに私の中に「新本格がここまで嫌いな人がいるのか。でも、ごめん。新本格も俺も、もう軌道にのったわ」と思うだけの余裕が生まれていた。めでたくできている男は、バッシングをパッシングしていたのだ。(93 ページ)

バッシングをパッシングって……座布団十枚差し上げます。

町田健『言語世界地図』

言語世界地図 (新潮新書)

言語世界地図 (新潮新書)

一つの国に一つの言語なのは世界では珍しい方で、様々な言語が入り混じっている国が多いという当たり前の事実を再認識させられる。日本でもアイヌ語や沖縄語があるが。

第139回芥川賞・直木賞候補

第139回芥川龍之介賞 候補作品

第139回直木三十五賞 候補作品

芥川賞楊逸直木賞山本兼一を軸に予想するが、ぶっちゃけ、誰でもあり得ると思う。

タカスギシンタロ監修『超短編の世界』

超短編の世界

超短編の世界

短編よりもショートショートよりも短い「超短編」。着地点が定まっている作品もあれば、読者の想像力次第で様々な読み方ができる作品もある。これだけの分量でもバリエーションが豊かであり、可能性の広がるジャンルだと実感させられる。
松本楽志、森山東、赤井都、タカスギシンタロなど、既に著名な「超短編作家」作品や公募の入選作など58作品を収録。