角川文庫「山田風太郎ベストコレクション」の作家推薦帯をまとめてみた

角川文庫で現在刊行中の「山田風太郎ベストコレクション」。9月は『誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽』と『夜よりほかに聴くものもなし』の2点が刊行された。

このシリーズには毎回、著名な作家による推薦文が帯に載っている。『誰にも出来る殺人/〜』は米澤穂信さん、『夜よりほかに聴くものもなし』には飴村行さんの推薦文が載っていて、おおなんと最適な人選、と思った。


と、帯を見ていてふと思ったのは、帯にしか推薦文がないので、帯がなくなると、どの作家がどんなコメントを寄せていたかが分からなくなるなあ、ということだった。今はまだ店頭の本にも帯が付いているケースが多いだろうから確認できるが、長いスパンで見ると間違いなく帯はなくなるので、作家推薦文が消える可能性がある。そして最近、この推薦文の確認を怠っていたで、誰が書かれているか、詳しく把握していなかった。ということで、調べてみた。


既刊については、現在でも角川文庫のサイトから帯文を確認できる。新刊は現物で確認した。

甲賀忍法帖
なぜ今なお、
これほどまでに新しいのか!?  冲方丁


『虚像淫楽』
今なお――いや、現代(いま)ゆえにこそ、
いっそう香り立つ
妖しき探偵小説(ミステリ)の華々。  綾辻行人


『警視庁草紙』
元江戸南町奉行と警視庁の対決を借りて
これほど見事に日本近代化の
陣痛を描出した作品はない。  森村誠一


『天狗岬殺人事件』
山田風太郎を読めば、
人生がより楽しく豊かになります。
もうご存じでしたか?   有栖川有栖


太陽黒点
肉声よりも肉声に近い叫びを
聞いてみたい人たちへ。  道尾秀介


『戦中派不戦日記』
風太郎青年の目から見る戦時は、
そのまま現代ニッポンの姿だ。  石田衣良


伊賀忍法帖
「小説にルールなんざねえ!」
と墓の下から怒鳴られた。  有川浩


『風眼抄』
山田風太郎文学」の成立の秘密を
ひそかに教えてくれる本である。  鹿島茂


『幻燈辻馬車』
まさに奇想天外、絢爛豪華。   筒井康隆


忍法八犬伝
この面白さは忍法だ。   西尾維新


忍びの卍
読むたびに思う。
忍法帖って「絵」だよなぁ…と。  せがわまさき


『妖説太閤記
風太郎vs.秀吉の激突
――勝者はどっちだ!?  菊地秀行


『地の果ての獄』
山田風太郎の作品群は、
今なおぼくの前に点り続ける
道標(みちしるべ)である。  夢枕獏


魔界転生
修羅たちの雄叫び、
異彩を放つ魔境の武人小説!
ホラー、笑い、エロ、暴力、人情、全部入り!  恒川光太郎


『誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽』
おそろし、市井のひとびと
おそろし、山風の人間理解  米澤穂信


『夜よりほかに聴くものもなし』
これは叫びである。
強者に蹂躙された人々の、
怨嗟と悲嘆の叫びである。  飴村行

こうしてみると、やっぱりどれも印象的だ。『魔界転生』の恒川光太郎さんの煽りがいいと思う。
山田風太郎ベストコレクション」の刊行はもう少し続く。完結したら再度纏めておきたいが、これは「中間発表」としてお楽しみいただければと思う。