内田春菊『南くんの恋人』

かつて高橋由美子で、そしてこの度フカキョンでドラマ化されるということで、新装版が出た。
しかしこの作品の「切なさ」は、映像ではどんなに頑張っても漫画版にはとても敵わないと思うのだが。ドラマでは再現できそうにないネタ(もちろん性関係)もあるし、そここそが実は切なくて仕方のないところなのだ。ちょっと読んだだけでも泣けてくる。
具体的に書くが、この作品中、南くんがオナニーをする場面が何度もある。そこには「精神的には好きでも、肉体的に絶対に結ばれない愛」という宿命がまずあるし、それ以上にいろんな感情・想いがそのオナニーに凝縮されていて、なんとも言えず切なくなってしまうのだ。いや、もちろん感動するのはそこだけではないのだけれどね。