伊坂幸太郎『グラスホッパー』序盤のあらすじ

 鈴木は愛する妻を轢き殺した人物・寺原長男が経営している悪徳商法の会社に潜り込み、復讐の時を伺っていたが、逆に入社動機を疑われ、上司・比与子に試されようとしていた。車のトランクに押し込んだ若い男女を殺してみろ、というのだ。しかもこの場に寺原が来るという。やがて寺原が交差点に立っているのが見えた。だが次の瞬間、寺原は車道に飛び出て、車に轢かれた。誰かに押された、と比与子が言った。「追いな」と命令され、鈴木はその場を離れていった男を追った――鯨は「自殺屋」だ。高層ホテルの一室で政治家秘書がまさに自殺しようとしていた。鯨は自殺を強要するのではない、だが不思議と、鯨に相対した人物は自ら死を選ぶことになり、そして実行するのだ。秘書は死んだ。鯨はホテルの窓から外を見やる、と、男が車に轢かれた瞬間を目撃した。鯨は直感した。あれは「押し屋」だ――蝉は一家三人を完璧なナイフ捌きで殺害した。殺しの依頼を引き受ける岩西の指示通りに仕事をこなした。「俺の言いたいことは全部、ジャック・クリスピンの歌詞に書いてある」と岩西は言い、常にクリスピンの言葉を引用していた――鈴木は寺原を押した人物の家に来た。そこには息子らしき少年がいた。「押し屋」に平和な家庭があるなんて、連想し難かった。と、父親が出てきた。あの男だ。「あさがお(槿)」と名乗った男に、鈴木は我ながら苦し紛れの嘘を吐いた。「息子さんに家庭教師をつける気はありませんか?」――

これは面白かった。やはり伊坂は伊坂である。発売後に感想ページに上のあらすじと感想をアップする予定だが、感想は「面白かった」程度のことしか書かないつもりだ。