「レディ・ジョーカー」(2004年「レディ・ジョーカー」制作委員会）

すごい俳優陣とすごい制作費で、大変な力作にはなっている。のだが、全体的に消化不良の感は否めない。
私は高村薫の原作を読んでいない（申し訳ない）のだが、恐らく原作は大変重いテーマを深く掘り下げて綿密に描ききった大傑作だろう。それほどの重みも深さも感じられなかった。時間が足りなさ過ぎて、描き切れていないのだ。日本の「悪しき風習」が事件の背景にあるのだけれど、そこも軽目に流しているだけ。だからこの映画を読むと、逆に原作を読みたくなる。
特に後半に解らない部分が多い。あのお金は結局どうなったのか、吹越満はあのあとどうなったのか、大杉漣はどうして最後にああいう行動をとったのか、長塚京三はどうして社長を解任されたのか、結局あの面子が集まったのは何故なのか……などなど。もちろん説明されているところもあるのだが、あまり明確になっていないように感じた。
徳重聡は合田のイメージにしては若すぎるものの、まあ頑張っている。でも存在感では吉川晃司に負けていた。勿体無いのは菅野美穂。ただの脇役になってしまったように見えた。渡哲也は貫禄。