角田光代『対岸の彼女』
- 作者: 角田光代
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/11/09
- メディア: 単行本
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現代における小夜子と葵の物語と、その葵と野口魚子(ナナコ)の学生時代の物語がカットバックで語られる。それぞれの状況をリアルに描きながらも、細かなエピソードの数々が淡々と綴られていく。しかしクライマックスで、小夜子が葵にある問いかけをした瞬間、それまでの小さなエピソードの積み重ねの全てがその問いかけに重くのしかかる。瞬時にして物語の風景そのものまでが変わるのだ。そして「友情の姿」について考えさせられる。これは素晴らしい作品だ。直木賞受賞も素直に頷ける。
もちろん、男性よりは女性の方が、共感する部分がより多いのだろうと思う。