日日日『ちーちゃんは悠久の向こう』
- 作者: 日日日
- 出版社/メーカー: 新風舎
- 発売日: 2005/02
- メディア: 文庫
- クリック: 62回
- この商品を含むブログ (252件) を見る
5つの文学賞を受賞、という話題ばかりが先行していた「天才高校生作家」日日日(あきら)がついにそのヴェールを脱いだ一作。ライトノベルらしく、ちーちゃんに萌える部分もあるが、展開はホラーのようにも見える。しかし具体的には幽霊など怪異の描写は皆無に等しい。怪異を見ているちーちゃんを見ながら激しく動揺する「僕」、という構図。二人の間には恋愛関係があるのかないのか、よく分からない状態で進む。全体としては「不器用な恋愛小説」という印象を持った。小説が不器用なのではなく、恋愛が不器用な小説なのだ。文章も若さゆえの堅さもあるがそれが逆に味になっていて、読むのに全く支障はない。
個人的にはラストだけちょっと不満が残った。あそこまで盛り上げて、その落とし方なのか。それで良かったのだろうか。
あと感想とは全く関係ない些細なことだが、個人的にツボにはまったフレーズがある。166ページ。
めでたくなしめでたくなし。
いやあ、この言葉のセンスは凄いかも知れない。いや、誰かが先にやっているフレーズなのかも知れないけれど。→(追記)結構普通に使われているようです。私が知らないだけでした。詳しくはコメント欄参照。
とりあえずもう一つの『私の優しくない先輩』も読んでみよう。