飯嶋和一『黄金旅風』

黄金旅風

黄金旅風

江戸時代初期の長崎は、キリスト教ポルトガル人、イスパニア人などの交流によって、あらゆる文化が入り交じり、栄えていた。その地に生まれ育ち、「悪童」として知られていた末次平左衛門と平尾才介の二人は、やがて長崎の地を背負って立つほどの重要人物になる……基本は時代小説だが、冒険小説や経済小説としても楽しめる作品だ。平左衛門が長崎奉行・竹中重義の悪政を告発していく過程は痛快ですらある。
飯嶋作品は以前『始祖鳥記』(ISBN:4094033114)を読んだことがあるが、それと同じような雰囲気を感じた。当時は「小難しい小説だなあ」と私の評価は低かったのだが、その後の評判を聞いて、自分の読み方が甘かったことを感じたものだ。今読み返せば楽しめるかも。
これで「本屋大賞」へ向けてマジック1となった。残すは『明日の記憶』のみ。