小路幸也『高く遠く空へ歌ううた』
高く遠く空へ歌ううた (Pulp‐town fiction)
- 作者: 小路幸也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/04
- メディア: 単行本
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全体的にファンタジックな雰囲気が漂う小説だ。舞台も登場人物たちも現実的なのに、物語はどこか「別の世界」な感じ。だから、地に足がついているようなついてないような、不思議な感じで読み進むことになる。事件も、それが事件なのかすら分からないような展開を見せる。事件を追うのがメインではなく、ぼくとその周辺の話が中心だ。結末で突然、事件の真相がミッシングリンクものだったことが分かる。やや唐突すぎる気もするけれど、実はこの小説の肝はそこにはない。その直前の、ぼくが××場面こそが重要なのだ。ルーピーや柊さんなどの人物造形もいい。和んで読みながらも、胸に何かが残るような小説だ。