大倉崇裕『やさしい死神』
- 作者: 大倉崇裕
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2005/01/08
- メディア: 単行本
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落語の演目で登場するネタが実際の事件に絡んでくる、そのあたりの見せ方は相変わらず巧い。特に「無口な噺家」と「へそを曲げた噺家」はミステリとしても完成度が高い。「紙切り騒動」は展開がほぼ完全に読めてしまったけれど、最後の一行の「オチ」でいい話としてまとめられている。しかし全体として「巧いけれど、何か突き抜けたものが欲しい」のも事実。妙に「こなれた」だけの作家で満足して欲しくないので。さあぜひ『無法地帯2』を!