太田忠司『月読』
- 作者: 太田忠司
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/01
- メディア: 単行本
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (38件) を見る
これも上手く粗筋をまとめ難い作品だ。刑事側の視点で描かれる事件と、少年の視点で描かれる青春小説風ミステリが、少しずつ(主として人物名で)絡み合ってくる。ベースにあるのは、月導、そして月読。二つの物語が交差しながら盛り上がるレトリックに、読んでいる方も興奮がピークになる。SF的設定を使っている割に、真相部分でえらく古典的な題材が登場するのにはちょっと辟易してしまうが、それまでの伏線が全て回収されて素晴らしい。月読に関するある「トリック」はちょっと分かり難かった(というか、イマイチ効果的ではない?)のが残念。克己パートは青春小説としての完成度が高く、これだけでも充分面白い。炯子に萌えることだって出来る。ラノベ読者にもお薦めだ。