矢野龍王『時限絶命マンション』
- 作者: 矢野龍王
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/04/06
- メディア: 新書
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いろんな意味で問題作の『極限推理コロシアム』から一年。次はマンションを舞台にした殺人ゲームである。6時間ごとに「悪魔人形」を所持している部屋の人物が次々に殺され、最後に残った部屋の人物たちが優勝、という設定。他人を中に入れてはいけない、参加者が外に出てはいけない、などの「ルール」も設定され、違反者も即死亡。この小説はもう、ただ派手なだけのゲーム小説だと言い切れる。サスペンス性はあるので一気に読めるが、読み終えた後には何も残らない。これだけ「主催者側」に都合のいいルールを作られると、もう勝手にやってください、って感じになる。主人公の心理描写も、殺人者になったり死者を憐れんだりと支離滅裂。いや、この状況ではそういう心理状態になる、と言われればそうかも知れないが。前作よりも進歩したのは、「主催者側」がこのゲームを行った動機設定にやや説得力が持てたことくらいか。