石持浅海『扉は閉ざされたまま』
- 作者: 石持浅海
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2005/05/01
- メディア: 新書
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これはとんでもない傑作だ。倒叙形式で、プロローグで「犯行現場」が描かれ、それから本編として、事件前の状況から始まっていく。だから、誰が誰をどうやって殺すかは最初から分かっている。あとは彼がどう追いつめられていくかがポイントなのだが、そこでしっかりとした本格ミステリになっているのにまず感心するし、それ以上に、全体の構成上で実に斬新な手法が使われているのだ。読んでいくにつれ、まさかこれってこのまま……と鳥肌が立って来たのだが、本当にそのままだったのには驚かされた。凄いことをきちんと成立させている。作者の本格へのこだわりがよく分かる作品だ。犯人の動機が説得力にかけるのが欠点だが、あまり重要でないからいいか(いいのか?)。今年の本格ミステリ界の収穫の一つになるのは間違いないだろう。
本作は先月ゲラの形で読ませていただいてました。上の感想はその当時のものに加筆したものです。一部変わっている部分もあるかも知れません。もちろん再読しますので、正式な感想は再読後にログに残します。