桜庭一樹『荒野の恋 第一部』
荒野の恋〈第1部〉catch the tail (ファミ通文庫)
- 作者: 桜庭一樹,ミギー
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2005/05
- メディア: 文庫
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今最も旬なラノベ作家、桜庭一樹が放つ「少女恋愛小説」三部作の第一部。確かに巧い描写が多くて、少女の気持ちを見事に表現した小説だ。性愛小説家の父親と、その家政婦や担当編集者、そして新しい「お母さん」など、それぞれに荒野の視線から見たキャラが立っていて面白い。恋愛小説としても、例えば「おじさん」には絶対に書けないもので、なんか懐かしいというか、こそばゆい。あだち充や「きまぐれオレンジロード」とかを読んでいた頃を思い出す。こういう時期をもう一度体感したいなあ、という人にも格好のテキストだろう。ただ、世間的に騒がれているほどすごい小説だとは思わなくて、少女小説としては普通ではないかなあ、という気もする。まあそんなに少女小説を読んでいるわけでもないので何とも言えないところ。第二部以降の展開を待ってみたい。