あさこあつこ『福音の少年』
- 作者: あさのあつこ,おおた慶文
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/07/20
- メディア: 単行本
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これは問題作ではないか。いや、前半は本当に素晴らしい。さすが『バッテリー』で数多くの読者を魅了しただけあって、少年少女の描写が活き活きとしている。だが後半で突如ミステリ風味になる。そして、「二人の知らない藍子像」が浮き彫りになる。そこがなあ……ええー、そんなに古臭い設定なのか? それでいいのか? クライマックスもある程度盛り上がるが、またベタなネタ使うなあ。こんなにチープな話を著者は「本当に書きたかった作品です」と言うのか? うーむ。これを『バッテリー』を読んできた子どもが手にしたらどうなのだろう。乱歩の少年探偵団シリーズを読み親しんだ子がふと手に取った大人ものが『陰獣』だった、といういわゆる「乱歩体験」に近い状態になるのではないか。どうにも腑に落ちない。こんなんで著者は満足なのか。著者をこんこんと説教したくなった。婦女子方面にはいろいろと萌えるシーンがあるのだろうか。
(この感想は発売前のプルーフを読んでのものです)