麻耶雄嵩『神様ゲーム』

神様ゲーム (ミステリーランド)

神様ゲーム (ミステリーランド)

芳雄たちは同じ町内の友達同士で「浜田探偵団」を結成している。今は連続猫殺し事件が気掛かりだ。しかもその3番目の被害猫が、探偵団のメンバーで芳雄の片思いの相手、ミチルちゃんの飼い猫だったのだ……今週はトイレ掃除の当番が同じ班の鈴木と一緒だった。鈴木は最近引っ越してきたばかりであまり話をしたことがない。その鈴が突然「ぼくは神様だ」と言った。世の中は全て自分が作り、これから起こることも全部知っていると言う。でも神様が小学生の格好をしているなんて不思議だ。鈴木は、猫殺しの犯人も当然知っていると言う。芳雄は鈴木にお願いした、その犯人に天誅を下して欲しいと……。
健全に見える少年探偵団もの、なのは前半だけ。鈴木の言う「神様」の話も最初のうちは眉唾に思えるが、殺人が起こるあたりから雰囲気が変わってきて、衝撃のラストまで突き進む。大人の嫌な世界を露骨に見せつける真相と、衝撃の天誅が下されるラスト。「探偵役の視点」を超越する「神の視点」。この小説を子供に読ませるのは、さすがに不味いのではないだろうか。大人の読者としての私の感想は、このダークさ最高! なのだが。