「ライターをつけろ」(2002年韓国作品)

ライターをつけろ [DVD]

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「韓流シネマ・フェスティバル2005」参加作品として劇場にて鑑賞。
いい年をして未だに職も持たないボング(キム・スンウ)は同窓会に出ても除け者扱い、日銭も親から盗む始末。予備軍の訓練に参加したものの、昼寝しているうちに訓練をすっぽかしてしまった。手にはわずか300ウォン。帰るバス代もなく、カップラーメンも買えず、ギリギリで買えたのは使い捨てライター1本。訓練仲間(カン・ソンジン)にソウル駅まで送ってもらったが、トイレの個室に全財産のライターを置き忘れてしまった。取りに戻ったが既になく、駅でたむろしていたヤクザのボス、チョルゴン(チャ・スンウォン)が持っていた。ライターを返してほしいと言ったが相手にしてくれなかった――チョルゴンはこれから、重要な計画を実行しなければならないのだ。国会議員パク・ヨンガプ(パク・ヨンギュ)の手助けをした代わりに報酬を期待していたものの、相手は議員になって以来チョルゴンを避けるようになっていた。一年後の今日、ソウルから特急「セマウル号」に乗るパクと直接交渉をする予定だった。ボングに構っている暇などないのだ――チョルゴンたちヤクザは、乗客を人質にして列車を乗っ取り、パク議員に金を要求したが、パク議員はヤクザとの関わりがマイナスイメージになる、と支払いを拒否。揉めている車両に、あのボングが入ってきた。用件はもちろんただ一つ、チョルゴンからライターを返してもらうことだけだ……。
列車内を舞台にしたサスペンス・コメディ。ボングはライターを返してもらうためだけに、結果的に列車での大事件を解決することになる。だが、彼は超人タイプではない。ダメダメな男が事件を通じて自らの殻を破っていく物語だ。笑いどころも結構たくさんあって、単純に物語を楽しめる作品だ。
ホテリアー」で日本でも御馴染みになったキム・スンウがダメダメ男役なのでギャップに戸惑う人も多いと思われるが、最後はスッキリするのでファンも楽しめるだろう。チャ・スンウォンはコメディ系イケメン俳優で、顔の微妙な変化だけで笑わせることが出来るのがすごい。キム・スンウ目的で観てチャ・スンウォンのファンになる人もいるのではないか(全然関係ないが、チャ・スンウォンを見ていると私はINOさん(id:INO)をいつも連想する。雰囲気が似ているのだ)。あと個人的には、脇を固める俳優陣に「アタック・ザ・ガス・ステーション!」の俳優が何人もいたことが妙に可笑しかった。パク議員のパク・ヨンギュはガソリンスタンドの社長だったし、やたらにうるさい男カン・ソンジンはGSを襲う4人組の一人「タンタラ」で、彼の横で冷静だった男ユ・ヘジンはラッパーを目指していたチンピラ男だった人だ。脚本家が同じ人だそうなので、その繋がりだろうか(三谷幸喜作品に近藤芳正梶原善がよく出るようなものか)。サントラもサスペンスフルな曲が多い中、スタイリッシュな曲をローラーコースターが提供しているのも嬉しいことだった。