金城一紀『SPEED』

SPEED (The zombies series)

SPEED (The zombies series)

岡本佳奈子は進学系の女子高に通う真面目な高校一年生。女子大生の家庭教師・彩子さんに勉強を教わっていた。佳奈子にとっても憧れの存在だった彩子さんは、ある日突然世を去った。大学の窓から飛び降りたのだ。佳奈子は、彩子さんがすごく頼りにしていた人だという中川という男に会った。彩子さんは不倫で悩んでいたという話を中川にした。証拠も持っている……その帰り、佳奈子は何者かに襲われた。大学で何かを企んでいる中川が、佳奈子の持つ「不倫の証拠」を奪うために男たちを使わしたのだ。が、危機一髪のところで「救世主」の4人組が現れ、助かった。「救世主」たちは停学中の高校生らしい。リーダー格の人は朴舜臣という名前だった――彼らに彩子さんのことや中川のことを話した。そして佳奈子たちは、大学の大学祭に向けて、動き始めた。
「救世主」たちはもちろん「ザ・ゾンビーズ」たちで、佳奈子の学校は『レボリューションNo.3』でザ・ゾンビーズが三年連続で学園祭潜入を試みたお嬢様高校だ。なので、このシリーズを知っている読者には御馴染みのエピソードもチラホラ登場する。『フライ,ダディ,フライ』の主人公だったおじさんが女子高生になっただけ、という感じもしないではないが、箱入りだったお嬢様の冒険譚はやっぱり面白い。ストーリーも全て予想通りながら、最後はスカッとさせてくれる(「みんなの世界までは、あとこぶし二つ分。」のフレーズに痺れた)。