五十嵐貴久『2005年のロケットボーイズ』

2005年のロケットボーイズ

2005年のロケットボーイズ

工業高校に入ったおれたちは、仲間たちとパチスロで遊び耽ける毎日を過ごしていた。ある日合コンで飲み過ぎ、アル中で倒れ、そのまま謹慎処分になった。学校に復帰したおれを待っていたのは、生活指導の先生だった。彼は「キューブサット設計コンテスト」の募集要項をおれに突き出した。キューブサットとは、超小型の人工衛星のことで、これに参加しろというのだ。「鳥人間コンテスト」に参加して有名になった高校が、次の「目玉」を作りたいらしいのだ。でも、キューブサットなんて知らないおれにはどうしようもない。仕方なく、「大先生」と呼ばれる天才を上手く丸め込んで素晴らしい設計図を作成してもらい、見事優秀賞に輝いた。賞金で遊びまくったおれたちの前に、そのキューブサットを本当に作る「カムバック・コンテスト」への参加義務が突きつけられた。しかも「設計コンテスト」の賞金はキューブサットの制作費に充てろというのだ。さあ、どうする!?
『1985年の奇跡』に続いての青春小説。こちらは理系だ。おれことカジシンや、仲間のゴタンダ、ドラゴン、そして引きこもりの親父、工作機械のオーソリティーのジジイ、オタクな女の子・彩子、金持ちで学校を支配しているダンナ、そして設計図作成の大先生、自閉症だが実はキーマンの「レインマン」など、ユニークなキャラが集結して大きな目標に挑むことになる。特に後半は都合よく進みすぎかなあ、という気がしなくもないが、爽やかに読み終えることが出来るので充分だろう。青春してるねえ。