横山秀夫『ルパンの消息』
- 作者: 横山秀夫
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2005/05/20
- メディア: 新書
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横山秀夫がサントリーミステリー大賞に応募して佳作に終わった幻のデビュー作が15年の時を経て日の目を見た。設定が15年前のままなので、「ルパン作戦」と女教師の事件があったのは30年前ということになる。昭和の時代を感じさせるストーリーだが、現在の横山秀夫の作風が既に確立されている。実に巧い。後半次々と明らかになる意外な展開も眼を見張った。何気ない描写も重要な伏線だったりするなどの計算高さもなかなかのもの。計算されすぎているのが逆に鼻に付くくらいだ。それと「時効」が絡むとみんなあのネタ使うんだなあ、と思ってしまった。最後の最後で人情話に持っていくのも感動的だが、無理にそこまで詰め込まなくても。あの「三億円事件」までも絡んでくるのだ。デビューとしては出来すぎた作品だったといえよう。