「子猫をお願い」(2001年韓国作品)

子猫をお願い [DVD]

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インチョンの商業高校を卒業した親友5人は、その後、それぞれの道を歩いていた。家業のサウナを手伝いながらボランティアで障害者詩人の代筆をするテヒ(ペ・ドゥナ)、ソウルの証券会社で忙しく働いているヘジュ(イ・ヨウォン)、美術の才能があるのに仕事に就けず、両親がいないので今にも崩れそうな祖父母の貧しい家で暮らすジヨン(オク・チヨン)、自分たちで作ったアクセサリーを路上で売る中国系の双子姉妹オンジュ(イ・ウンジュ)とピリュ(イ・ウンシル)。だが5人はそれぞれに壁にぶち当たって悩んだり、恋に芽生えたり、あるいはささいなことから友情に亀裂が入り始める……。
20歳の女性5人の繊細で悩める心情を淡々と、しかし確かに伝えてくる映画だ。後半ジヨンの身に降りかかる「大事件」を除いて、彼女たちの境遇が大きく変化するわけではない、のだが、ほんのわずかな期間で挫折と成長を繰り返していく過程が見事に表現されている。物語としては地味で、何となく観ているだけでは退屈してしまう作品かも知れない。しかし観終わった後、何かが残るだろう。
ペ・ドゥナの魅力がよく伝わる作品だが、私はむしろジヨン役の新人女優オク・チヨンに激しく感情移入してしまった。クールだが内に何かを秘めているような表情が最高。彼女はもっと活躍してもいいと思うのだが。イ・ヨウォンは「アタック・ザ・ガス・ステーション!」でバイトの学生「カルチ」をやっていた子。大人になったね(実生活では結婚して子供もいるらしい)。