鈴木邦男・佐藤由樹『天皇家の掟』

天皇家の掟―『皇室典範』を読む (祥伝社新書)

天皇家の掟―『皇室典範』を読む (祥伝社新書)

皇室典範女性天皇の歴史、女性天皇論、諸外国の皇室などなど、さまざまなアプローチで天皇家の将来を考えていく佐藤由樹に対し、それを読み解きながらも持論を展開していく新右翼鈴木邦男、という構図の本。当然ながら、鈴木パートが圧倒的に面白い。
印象的な文章をひとつ挙げてみる。185ページ、鈴木邦男パートだ。

何度も言うように、旧『皇室典範』は外国の眼を意識した「背伸び」だった。西欧列強に追いつき、追い越す。富国強兵で強い国になる。戦争もやらなくてはいけない。そんな「男らしい」国にする。そう思っていたから、男子天皇が必要だった。また、遅れた国と侮られてはならない。天皇が好き勝手にやる国ではない。立憲君主国として、西欧と同じ国になるんだ。そういう意気込みがあったのだ。「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」というのは現憲法の前文にある言葉だが、このいじらしいまでの決意は、むしろ明治の旧『皇室典範』を作った時にこそ言える。