有川浩『図書館危機』

図書館危機

図書館危機

憧れの君の正体が分かってもまるで恋が進展しない郁&堂上。まあそのじれったさがこのシリーズの、引いては有川浩作品の魅力でもあるのだが。
図書館での「痴漢」ネタなどは書店でもよくありそうな話だし、差別用語問題など身近にありながらも実は意外と知られていない問題を採り上げたりして、なかなか興味深い。とりわけ差別用語問題ネタの「ねじれたコトバ」が良かった。
最終話は著者の軍事オタク振りを久々に炸裂させていて、筆が冴えている。ラストは感動の展開だが、稲嶺司令の出番がもうちょっとあっても良かったのでは。