乾くるみ『イニシエーション・ラブ』

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

文春さんからいただきました。ありがとうございます!
原書房版でも読んでいた作品ですが、文庫化を機に再び(三たび、いや、五度目くらいです)で読み返しました。また付箋をいっぱいつけてしまいました。


普通に読めば、80年代を舞台にした「たっくん」と「マユ」の甘くも哀しい恋愛小説である。最後で何の違和感も感じなければ。しかし、ラストで何らかの衝撃を受けた人にとっては、物語は全く違った性質を帯びてくる……というようなことも、かつて散々話題になったことだ。ただ今回読み返してみて、「女ばかりが悪いわけでもない」と感じた。男だって充分悪いよねえ。これ以上は言わないが。
大矢博子氏による解説は、同世代だけあって、痒いところに手が届く親切設計。必ず読了後に読むこと。