『自分の体で実験したい 命がけの科学者列伝』

自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝

自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝

現在の科学・医学の進歩は、過去の科学者たちが「自らの身体を提供して」実験を繰り返した結果、成り立ったものが多い。その具体例を紹介した作品。面白い。お薦めです。
有名なのはラジウムを発見してそれを放射線治療に役立てたキュリー夫妻くらい。ただし二人とも放射能汚染にまみれていたのだ。
難病の謎を解明するために、わざわざ自分に病気を移し、そのために死んだ人まで紹介されている。今なら無茶ことだと認められないだろうが、本人はいたって真面目だったのだ。

カリオンの友人たちも、医学校の担任のピラール教授も、それがいい考えだとは思っていない。もちろん、カリオンの気持ちはよくわかっていた。謎の病気が自分の体で進行していくのを見守りながら、病気のことをもっと知りたくてたまらないのである。
(60ページ、「死に至る病に名を残した男」より)

本編ではないが、あとがき部分で、寄生虫を自分の身体で「飼っている」ことで有名な藤田紘一郎氏の話も紹介されている。