ロバート・トゥーイ『物しか書けなかった物書き』

物しか書けなかった物書き(KAWADE MYSTERY)

物しか書けなかった物書き(KAWADE MYSTERY)

タイプを叩いていると、目の前に「馬」が現れた。「馬」を書いてしまったのだ。そうして次々に物を書いていったが……の表題作に代表されるように、シュールな物語を中心とした短編集。この作品では脱力的なオチが待ち受けているが、どれも何とも言えない妙な味わいで、時には人情話ぽいのもあったりする。読んでいるうちに癖になる。解説で法月綸太郎がしばしば「落語」に例えているが、まさに落語的世界に近い。