霧舎巧『新本格もどき』
- 作者: 霧舎巧
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/08
- メディア: 新書
- クリック: 10回
- この商品を含むブログ (64件) を見る
- 「三、四、五角館の殺人」(綾辻行人もどき)
- 「二、三の悲劇」(法月綸太郎もどき)
- 「人形は密室で推理する」(我孫子武丸もどき)
- 「長い、白い家の殺人」(歌野晶午もどき)
- 「雨降り山荘の殺人」(倉知淳もどき)
- 「13人の看護師」(山口雅也もどき)
- 「双頭の小悪魔」(有栖川有栖もどき)
事件の内容も含め「もどき」の完成度には多少上下はあるが(作品によってはぐだぐだになったり)、新本格世代なら普通に楽しめるはず。目張り密室トリックが面白い「人形は密室で推理する」と、「星降り山荘の殺人」の設定と猫丸先輩風な奇妙さが上手くブレンドされた「雨降り山荘の殺人」、様々な小ネタを詰め込むだけ詰め込んだ「13人目の看護師」あたりをお薦めしたい。
よく考えてみれば、霧舎巧は普段から「もどき」を作風にしている気がする。《あかずの扉研究会》シリーズはまさに「新本格もどき」だし、霧舎学園シリーズは「ラブコメもどき」、『名探偵はもういない』のシリーズだって、ある登場人物が「もどき」だったりするし。そういう意味でも、いかにも霧舎らしい短編集といえるだろう。