倒産版元の本を売るというビジネスモデル

TBSラジオの「ストリーム」という番組のポッドキャストを聴いているのですが、先日、タレント本評論家の吉田豪さんが「タレント本ベスト10」みたいなのを発表していました。
その結果は本題とは無関係なので端折りますが、その中で、AV女優・森下くるみさんの本『すべては「裸になる」から始まって』が紹介されていました。

すべては「裸になる」から始まって

すべては「裸になる」から始まって

AV女優という職業から、両親・恋人の話までを赤裸々に書いた本です。
ただ、悲しいことに、この本が出た直後に版元(英知出版)が倒産してしまい、森下さんの元には印税が一銭も入らないという悲しいことになりました。


で、上のリンクからAmazonの紹介ページを見ていただきたいのですが、実はこれ、古書価が上がっているのです。最安値でも4,000円です。定価は1,260円ですよ。
一般的に版元が倒産すると、書店はその版元の本が返品出来なくなり、売り切ってしまうか処分するかしかなくなります。が、新刊の場合は、取次ぎが「委託配本」しているケースが多いため、委託期限内なら返品可になります。または「常備」「長期」なども返品出来る場合があります。
森下くるみさんの本の場合、出た直後に倒産してしまったため、「委託期間内」となり、ほとんどの書店はすぐ返品したはずです。そのため、市場にはほとんど出回らなくなり、希少価値が出てきて古書価が上がったと思われます。
書店にとって版元の倒産は「負債を抱える」わけで、百害あって一利なしです。が、時々ではありますが、上のようなケースが出てくるのは見逃せません。これをAmazonに出品したり、自社サイトで売るという方法も、あるのではないでしょうか。
かつての「サンリオSF文庫」や「幻影城ノベルス」、あるいは、倒産したわけではありませんが全て絶版となった講談社の「江戸川乱歩推理文庫」などの例もあります。版元の倒産は大変な事態ですが、ごく稀ながら、上手く活用できる手段もあるような気がします。


えー、私、森下さんの本、買ってます。ちゃんと読んで感想も書いてます。倒産の情報を聞いてから買ったのですが。