石持浅海『君の望む死に方』

君の望む死に方 (ノン・ノベル)

君の望む死に方 (ノン・ノベル)

ガンで余命いくばくもないことを知った日向には、ある計画があった。自分に対して恨みがあるはずの若手社員・梶間に自分を「殺してもらおう」と。梶間には日向を殺す動機が十分あり、日向もそれを知っていた。日向は、梶間を含めた若手社員たちを「研修合宿」に参加させた。殺す機会はいつでもある。「凶器」や殺害のタイミングもそれとなく用意していた。だが、合宿にゲストとして招かれていた碓氷優佳の存在が、彼らの前に大きく立ちはだかっていることに、その時点では双方とも気付いていなかった。
『扉は閉ざされたまま』に続く、一捻りさせた倒叙ミステリシリーズ第二弾。「殺したい男」と「殺されたい男」の視点で、その経過が描かれる。前作ほどの推論の応酬はないものの(プロット上仕方がないところだ)、相変わらず切れ味がある。話が都合よすぎる気がしないでもないが、この設定を考えただけでも高く評価したい作品だ。