清水義範『早わかり世界の文学』

早わかり世界の文学―パスティーシュ読書術 (ちくま新書)

早わかり世界の文学―パスティーシュ読書術 (ちくま新書)

清水義範による大学や高校での講演録を中心に、書き下ろしの「補講」などをまとめた本。特に前半の講演録の趣旨、世界の文学は過去の作品のパロディで繋がっている、という話が非常に面白い。突き詰めれば、ホメーロスオデュッセイア』まで遡れるらしい。『ドン・キホーテ』の続編をめぐって「偽者」と「本物」の間でメタフィクションのような展開になったとか、『ガリヴァー旅行記』は『ロビンソン・クルーソー』のパロディとして書かれた、などの話が興味深い。
また、著者が、日本で唯一(らしい)パスティーシュ作家になった過程も披露されている。
後半は、子供たちに作文を指導した時のエピソードや、著者が決める「世界十大小説」の紹介など。
とにかく、本は読むべし。読めば自然と書けるようになる、というのが結論だろうか。