伊坂幸太郎/山下敦弘『実験4号』

実験4号

実験4号

伊坂の小説と、山下(「リンダリンダリンダ」などの監督)の短編映画のコラボ。よく考えれば、伊坂幸太郎は自分の作品同士でリンクを作るのが巧い作家で、そのノウハウがここでも活かされている。人類が火星に移住し、すっかり過疎化した「新東京」が舞台。火星から帰ってくるはずのバンドメンバーを待ち続ける伊坂の「後藤を待ちながら」、小学校の卒業と同時に火星に行くことになる我孫子少年を送る子供たちとシマ子先生と小田斬を描いた山下の「It's a small world」。Theピーズとその曲「実験4号」にインスパイアされており、小説の方には実際のインタビューも挿入される。二つ併せて観る/読むことで、何とも言えない感動が得られる。購入を躊躇っている人が多いだろう(内容がイマイチ分からないのと、やや高いため)が、買って損はない作品だ。映画の方でシマ子先生を演じているモデル出身女優の竹下玲奈さんがすごくいい演技をしている。いつかブレイクしたら、これがレアアイテムになりそうな気がするので、今のうちに確保すべし。