太田忠司『予告探偵 木塚家の謎』

予告探偵―木塚家の謎 (C・NOVELS)

予告探偵―木塚家の謎 (C・NOVELS)

「罪ある者は心せよ すべての事件の謎は我が解く」――事件の発生ではなく、「自らが謎を解く」ことだけを予告する探偵・摩神尊。そしてワトソン役は常に木塚。1953年、2008年、2135年と、長い時を隔てた別々の事件なのに、探偵は常に「摩神尊」で相方は「木塚」なのだ。そのあたりも謎に関係してくるが、短編はそれぞれ単独で楽しめる。とりわけ2135年の事件、月面基地を舞台にしたマジシャンの密室殺人が、舞台設定を活かしたトリックが登場して傑作である。