福田和代『ヴィズ・ゼロ』

ヴィズ・ゼロ

今月末に東京創元社から新刊『TOKYO BLACKOUT』を出す作家が昨年発表したデビュー作。面白い、という噂を聞いて読んでみたが、これは読んで正解。本当に面白かった。
香港発福岡行きの飛行機がハイジャックされ、関西国際空港に着陸させられた。犯人の目的は何か……その頃、日本では台風が接近していた。機動隊出身の刑事はハッカーの調査のため関空に来ていたが、台風のため交通機関が寸断され、孤島と化した関空に取り残された――。サスペンス性も充分あり、人物の描き分けも素晴らしい。この時点で話題にならなかったのが不思議なくらいだ。