伊東乾『日本にノーベル賞が来る理由』
- 作者: 伊東乾
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2008/12/12
- メディア: 新書
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「ノーベル財団は原爆を「落とした側」のファインマンと、「落とされた側」の朝永、そして落とす側で、現在のイージス艦のレーダーやステルス戦闘機などの技術の先祖のような活躍をしていたシェウィンガーの3者を同時受賞とすることで、原爆20年を「和解と協調の年」として演出しています。21世紀の日本人が、いまどれくらい、これを理解しているでしょうか?」(73ページ)
1968年、ノーベル物理学賞はルイス・ウォルター・アルヴァレス博士に贈られた。彼は素粒子物理学で著しい業績をあげた。しかし彼はまた、原爆の「破壊効果測定責任者」でもあった。そこでノーベル財団は、同じ年のノーベル文学賞を川端康成に与えることで、バランスを取った。
「私はこの組み合わせを指摘する日本語の文献を未だかつて読んだことがありません。(中略)川端氏への配慮なのか、何なのか。ただたんに気がつかないだけだとしたら、驚愕するばかりです」(78ページ)