江戸川乱歩『地底の魔術王』&『透明怪人』&『怪奇四十面相』

乱歩の少年探偵、復刻表紙&挿絵シリーズ、今月も新刊4点が出たので、3月刊の本を読んでいる。

明智探偵を魔法の国の人民にして、わしのけらいにしてしまうのだ。わしは、それを思うとゆかいでたまらないんだよ。」

こんな動機なのか。


こちらの動機は、

「人間をひとりずつ透明にしてゆくことだ。百人、千人、万人、透明人間の大集団をつくろうというのだ。まあ考えてみたまえ。まったく目に見えない人間の大集団が、日本じゅうを、いや、世界じゅうをあらしまわるのだ。天下無敵の透明軍だ。ああ、それを考えただけでも、わしはゾクゾクするほど、うれしくなる。」

いやはやまったく。
透明怪人の正体は当然、怪人二十面相なのだが、読者は全員それを想定しながら読んでいるのに、文中に登場するのは、ラスト2ページである。なかなか面白い演出だ。


『透明怪人』で捕まったばかりなのに、とっとと脱獄した二十面相は、いきなり「四十面相」と改名を宣言する。ガイコツ男やらカブトムシやら郵便ポスト(!)にまで変装する四十面相に対し、小林少年も「百科事典」(!!)に変装するなど大活躍。もう楽しくて仕方がない。