獅子宮敏彦『神国崩壊』

神国崩壊―探偵府と四つの綺譚 (ミステリー・リーグ)

神国崩壊―探偵府と四つの綺譚 (ミステリー・リーグ)

一つの作品の中に、過去の物語として4つの短編が入れ子構造になっており、その連作短編が外枠の事件解決のキーになっている。
その外枠の事件がやや物足りない(会話も軽すぎてちょっと引く)が、中の短編はどれも凄い。とりわけ、「マテンドーラの戦い」の城壁越えトリックと、「帝国擾乱」の都市消失トリックは、どちらも無茶苦茶なバカミスだが、強烈なインパクトがある。本格ファンなら絶対に読んでおくべし。恐らく、短編本格ミステリの歴史において、後世にも語り継がれると思う。