ニール・ドグラース・タイソン『かくして冥王星は降格された』

かくして冥王星は降格された―太陽系第9番惑星をめぐる大論争のすべて

かくして冥王星は降格された―太陽系第9番惑星をめぐる大論争のすべて

冥王星アメリカ人によって発見されたので、アメリカ人に非常に愛された星だった。惑星降格の危機を迎えて以降、全米に動揺が走り、困惑し、そして抵抗が繰り広げられた。著者が管理しているプラネタリウムの惑星模型に冥王星がなかったため、それが2001年に新聞で報道されるやいなや(「冥王星がないのはここニューヨークだけだ」)、全国から抗議の手紙やメールが寄せられたらしい。そこで展示されているのは「地球型惑星」と「木星型惑星」の模型なので、どちらにも属していない冥王星はなかったのである。


結局のところ、

冥王星は、ひとりのアメリカ人がアメリカのために発見した、実に由緒あるアメリカの惑星である」
(152ページ、宇宙科学者ケヴィン・ザンレの発言)

という思いが支配的だったのだろう。


冥王星準惑星とした決定は妥当だと私も思うが、一つだけ興味深い事実がある。海王星との「共鳴振動」だ。海王星が太陽の周りを3周する期間と、冥王星が2周する期間が、まったく同じだというのだ。あんなに小さくて軌道もいびつな星が、海王星の動きと共鳴している、というのは、「準惑星」にしておくには勿体無い性質である。