アラン・ムーア作/エディ・キャンベル画『フロム・ヘル』

フロム・ヘル 上

フロム・ヘル 上

フロム・ヘル 下

フロム・ヘル 下

あの「みすず書房」がコミックを出したことも話題になった作品。
かの「切り裂きジャック」事件に関する様々な資料・仮説を元に、それら全てを凝縮して一つの世界を再構築した。その緻密さが半端なく凄い。
漫画ではあるが、読み捨てるようなページが一切ないことは「補遺」での原作者自身の解説を読むとよく分かる。
一度読んだだけでは理解できないシーンもあるので、「補遺」を読みながら再読することをお薦めしたい。
第十章が特に凄惨で、読んでて気持ち悪くなってくる。第十四章も実に印象的だ。
大変に高価な漫画(上下合わせて5,460円もするのだ!)だが、絶対に読む価値のある作品だ。今年のミステリを代表する話題作の一つだろう。これが「このミス」他のランキング企画にどう絡んでくるか注目である。

これははじまりだ、ネトリー。
単なるはじまりにすぎん。
良いか悪いかは知らず、二十世紀のな。
わしがそれをもたらした
(第十章、本書における「犯人」、ガル博士の台詞)