福田和也『闘う書評』

闘う書評

闘う書評

書評が「芸」になっている人の書評集。読書の指標というよりは、こういう書評を書きたい、という希望的観測で勉強する視点で読んでしまった。

佐々木俊尚『ブログ論壇の誕生』

ブログ論壇の誕生 (文春新書)

ブログ論壇の誕生 (文春新書)

ここ数年で急速に増大したブログ。さらに近年ではブログでの言説が世間に影響を及ぼすようになってきた。最近の有名な実例(フリーチベット共産党志井委員長の国会質問、光市母子殺人「1.5人」発言問題)などを採り上げながら、ブログの持つ影響力について書かれた本。
ブログ論壇は確かに急成長したが、時によっては極端な論説になったり、異常な空気を生むこともあって、成熟もまだしていない感じを受ける。だからあくまでも「誕生」なのだろうか。巻末には著者推薦のブログリストもある。

『綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(1)』

綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(1)

綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(1)

メフィスト」連載の単行本化。ミステリは特にネタバレ(ネタバラシ)をした上でないと語れないケース、また作品を読んでもらった上で語りたいケースも多いが、それを実現させた本。短編ミステリを題材に、作品を読んでからその作品の魅力を語る仕組み。
収録作品はほとんど読んでいたが、江坂遊ショートショート南條範夫「黒い九月の手」は初読。江坂作品はちょっと好きになりそうな魅力を感じる。南條作品は「ミステリにパズルを取り込もうとして無骨になった例」として紹介されているが、これはこれで味になっていると思う。既読作品では泡坂妻夫「ヨギガンジーの予言」が、古典的なマジックのトリックを使いながらも、オリジナリティーを提示していて、改めて傑作だと思った。