『綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(1)』

綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(1)

綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(1)

メフィスト」連載の単行本化。ミステリは特にネタバレ(ネタバラシ)をした上でないと語れないケース、また作品を読んでもらった上で語りたいケースも多いが、それを実現させた本。短編ミステリを題材に、作品を読んでからその作品の魅力を語る仕組み。
収録作品はほとんど読んでいたが、江坂遊ショートショート南條範夫「黒い九月の手」は初読。江坂作品はちょっと好きになりそうな魅力を感じる。南條作品は「ミステリにパズルを取り込もうとして無骨になった例」として紹介されているが、これはこれで味になっていると思う。既読作品では泡坂妻夫「ヨギガンジーの予言」が、古典的なマジックのトリックを使いながらも、オリジナリティーを提示していて、改めて傑作だと思った。