立ち読みくん

2,3日ごとに文庫のライトノベルコーナーで黙々と立ち読み耽る青年がいる。大学生くらいだろうか。特に夏休みだと思われた頃には、毎日のようにやってきて昼間から閉店間際まで読みまくっていた。いつご飯を食べてるのやら、トイレにも行ってる風でもなく、ずっと同じところに同じ姿勢のまま読んでいる。かといって、こちらも迷惑というわけでもなかった。時間まで読み切れないのか、時々買って帰ってくれた。それに、読んでいる彼は実に幸せそうなのである。時折読みながらにやにやしている。よほど面白い場面を読んでいるのだろう。そのうち店にあるラノベはほとんど読みつくしてしまうのではないか。私は彼を密かに「立ち読みくん」と呼んでいる。
今日は「立ち読みくん」は現れなかったが、別の青年が昼間中「立ち読みくん」のいつもの立ち位置で読み耽っていた。今日から彼を「立ち読みくん2号」と呼ぼう。
ひょっとしたらあなたも、行きつけの書店の店員に「立ち読みくん」「立ち読みさん」と呼ばれているかも知れない。