ファシズムと戦争の犠牲者に捧ぐ

昨日も書いたようにショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲は難解で退屈だと思っていたが、そんな私でも以前から気に入っている曲がひとつだけあって、それが第8番ハ短調である。「ファシズムと戦争の犠牲者に」捧げられた曲で1960年作曲。重苦しいかと思ったら突然激しくなったりまた静かになったり、かと思えば「チェロ協奏曲」など自作からの引用があったり。しかし全体に流れる通俗低音は「空虚」だと思う。虚しい高揚感であり虚しい重苦しさである。