ミスティック・リバー

うーむ。この映画はどこに焦点を定めて観るかによって印象が全く違ってくるのではないだろうか。私は「犯人当てサスペンス」として観たので、さほどの感動はなかった。かなり原作に忠実らしく、よく考えられたプロットだとは思うのだが、あまりにもミスリードが露骨過ぎて「いくらなんでも彼が犯人で終わらせるはずがないよな」と誰もが思ってしまう。それと真相へのデータがやや不足気味なので、後で「ああ、あそこが伏線だったのか」と感心する部分があまりないように思った。
ジミー(ショーン・ペン)の娘の死体が見つかったところでの父親の泣き叫びは鬼気迫るものがあり、感動したシーンといえばそこくらいなものか。少なくとも、涙が「とどめなく」流れるような物語には描かれていないように思う。