荻原浩『明日の記憶』
- 作者: 荻原浩
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2004/10/20
- メディア: 単行本
- クリック: 27回
- この商品を含むブログ (200件) を見る
アルツハイマーが進行していく過程を、その当人の視点で描いた小説。読み進むのが辛い話なのに、いつの間にか作品世界に引き込まれている。身に詰まされるというよりは、怖い小説だ。これを読んでいる自分だって、もしかしたら明日にはこの主人公と同じ境遇に置かれるかも知れないのだ。渋谷の街で突然、ここがどこかが分からなくなる場面など、本当に恐ろしい。そんな主人公にとっての「明日への希望」は娘であり、産まれて来る孫であり、そして妻の支えである。当たり前すぎてなんとも思っていなかった身の回りの愛の姿に改めて気付かされるのだ。これは素晴らしい小説だった。読む機会が与えられて良かったと思う。
よおし、これで「本屋大賞」ノミネートを全作制覇したぞ。後は投票だ。