桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』
- 作者: 桜庭一樹,むー
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2004/11
- メディア: 文庫
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最初に結末(にあたる新聞記事)が書かれており、そのカタストロフィに向かって進んでいく小説だ。全編通して、話は全くもって暗い。藻屑に振り回されながら辛い現実に向き合うことになる少女なぎさを通じて、「生き残ったもののみが大人になる」「何かを失い、何かを乗り越えてみんな大人になる」というメッセージが込められているように思った。タイトルや37ページ、87ページの描写などから、著者がカーを意識しているのは明らかだが、ミステリ的な驚きはほとんど用意されていない。ただ、ラスト近くの藻屑が消えるトリック(と呼べるものかどうかは分からないが)は、87ページのやり取りで暗示されている、と取れないこともない。辛いが、忘れられない物語と言えるだろう。