加藤実秋『インディゴの夜』

インディゴの夜 (ミステリ・フロンティア)

インディゴの夜 (ミステリ・フロンティア)

 高原晶は、本業は実用書のゴーストライターだが、実は渋谷のホストクラブ「indigo」の共同オーナーである。そこに渦巻くのは様々な人間模様と闇の事件たち……。店の常連だった古川まどかが何者かに殺された。死体には「天注」と書かれた謎の紙が。普段からストーカーに狙われているとTKO(タケオ)に打ち明けていたまどかだったが逆にTKOに疑いがかかる……「インディゴの夜」。ジョン太の知り合いの娘・祐梨亜が店にやってきた。小学生の彼女は上得意客気取りだったが、ある日ホスト連中から大金を借りて消えてしまう……「原色の娘」。渋谷区長から娘を探して欲しいと依頼された晶たち。娘の全裸の写真をネタに揺すられているのだ……「センター街NPボーイズ」。店の人気ホストだったBINGOが消えてから3ヵ月、彼からSOSの電話が突然かかる。さらにBINGOの得意客だったハルカが血まみれで店の前に現われ、何者かに連れ去られた。全てはBINGOが引き抜かれた新興のホストクラブに秘密がありそうだ。晶たちは潜入操作を開始したが……「夜を駆る者」の4編。
 「池袋ウエストゲートパーク」の渋谷&ホスト版みたいな雰囲気か。ミステリ度は決して高くないが、ストーリーが面白いし騙りも巧いので一気に読める。たくさん登場するホストのキャラ造形は結構難しそうに見えるのだが、きちんと出来ているので安心して読める。シリーズ化されてもおかしくないなあ。というかシリーズ化希望。あまりミステリを意識しないでエンタテインメントに徹してもいいような気がした。