鯨統一郎『すべての美人は名探偵である』

すべての美人は名探偵である (カッパノベルス)

すべての美人は名探偵である (カッパノベルス)

大学講師の早乙女静香と学生たちは、フィールドワーク旅行で沖縄に行った。ところがそこで大学の名誉教授・阿南が殺された。現場には血で描かれた謎のネズミの絵が残されていた。阿南は最近、歴史を塗り替えるほどの古文書を発見していたらしい。警察は以前TV番組で彼と討論をした静香を犯人と疑ってしまう。彼女は以前知り合った「アリバイ崩しの東子」こと桜川東子と事件の謎に挑む。
んー、つまらない。もうどういう話だったかもあんまり覚えてない。短編だとまだ読めるのだが、長編になるとまるで面白くないのだ。『邪馬台国はどこですか?』『新・世界の七不思議』の静香と、『九つの殺人メルヘン』の東子が夢の共演をした、ということ以外に見るべきところがほとんどない。まああえて言えば、最強のミスコンテスト「ビューグラ」のトンデモ振りが笑えて面白いかな。「ずいずいずっころばし」の新解釈も登場するが……はあそうですか、状態。沖縄・北海道の同時殺人、などという不可能状況を作っているのに、解決編はぐだぐだ。えー、そんなもんで満足なのですかい。


作中、最も萎えた会話。(117ページより)

「あ」
静香が大きな声をあげる。
「あたし、旅費がなかったんだ」
「ボクが立て替えておきます」
「でも」
「早乙女先生は史上最大のミスコンで優勝するんです」
「そうだった」
「その賞金で返してください」
「わかったわ」
静香は頷いた。

えーー。